Q&A 第40回〈カーボカウントとは?〉
カーボカウントとは、血糖値にもっとも影響を与える炭水化物に着目した新しい食事療法のひとつで、食事中の炭水化物量を計算することで、血糖値を調節しようという考え方です。食事内容に制限の多い従来の食品交換表を用いた食事療法は、やや複雑で難しい印象でしたが、カーボカウントは食事中に含まれる脂質、蛋白質を基本的には無視するので、心理的ストレスが軽減し、食事の自由度が大きくなり、特にインスリン注射をしている患者さんでは、低血糖が減り、血糖コントロールが改善するので、有効な治療法とされています。
カーボカウントには基礎と応用の2種類があります。基礎カーボカウントは、1日の必要摂取エネルギーのうち、55〜60%を炭水化物で摂るようにし、その炭水化物量を1日の食事で上手に分配して摂り、ほぼすべての糖尿病患者さんが行うことができます。応用カーボカウントは、過食や栄養バランスに注意しながらも、食事は自由に摂ってもらい、食事中の炭水化物量に応じて、食前に注射するインスリン量を計算するので、強化インスリン療法中の1型糖尿病やインスリン依存の状態に近い2型糖尿病、膵疾患による糖尿病患者さんなどが中心となります。当院でも、血糖値の変動幅が大きい患者さんに、応用カーボカウントを導入していますが、多くのひとに改善が認められています。
ただ、カーボカウントにはデメリットもあり、単純炭水化物と複合炭水化物の質を問わず、グラム数で決めることや、同じ材料、グラム数であったとしても、調理法によって、血糖値の上昇が違ってきたりします。また、食事の内容に応じて、自分でインスリンの量を調節するので、偏った食事になりやすい傾向があります。
ですので、当院では、自己管理能力が必要となるカーボカウントを導入し、慣れるまでの間は、糖尿病療養指導士の資格を持ったスタッフと協力し時間をかけて、治療をすすめるようにしています。