肥満治療薬 GLP-1受容体作動薬「ウゴービ」
本年2月22日に、週1回皮下注射型GLP-1受容体作動薬セマグルチド製剤である、肥満治療薬(商品名ウゴービ)が発売されました。GLP-1受容体作動薬は、中枢神経系の視床下部に作用し、食欲抑制や食事の趣向性の変化(脂質や糖質を好まなくなる)によって、体重減少作用を有します。
ウゴービは、低用量0.25mgから投与開始し、効果不十分であれば、4週間おきに増量、最大で2.4mgまで投与可能です。現在使用されている週1回注射型セマグルチド(商品名オゼンピック)の最大用量が1.0mgですので、今までの2倍以上も使用可能になったわけです。GLP-1受容体作動薬は、用量が多ければ多いほど、体重減少作用も強いことが知られているため、今回の増量は、より強い抗肥満作用が期待される反面、悪心、嘔吐などの有害事象の頻度も高まるので注意が必要です。
GLP-1受容体作動薬はインスリン分泌を促進して血糖を下げる作用も有するため、従来のGLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病治療薬としてのみ保険適応でしたが、ウゴービは、糖尿病がない肥満症の患者さんにも使用できるため、むしろ肥満症治療薬としてマスコミでも話題になりました。ウゴービの適応患者さんは、高血圧、脂質異常症、または2型糖尿病のいずれかを有し、6か月間、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、①BMIが27kg/㎡以上かつ2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する、②BMIが35kg/㎡以上、これらに該当する場合に限って処方できます。また当面の間、処方できる医療機関についても、制限がかけられています。
GLP-1受容体作動薬は、肥満症の多い欧米諸国での需要が高まっているため、日本でも多くのGLP-1受容体作動薬製剤に対して出荷調整がかけられている状況です。従って、厚生労働省、日本肥満学会は、美容、ダイエットなどを目的にGLP-1受容体作動薬が不適切に使用されることがないよう注意を呼び掛けています。