2型糖尿病の薬物治療のアルゴリズム
2024年01月05日
2023年9月に2型糖尿病の薬物治療のアルゴリズムが日本糖尿病学会より発表されました。インスリンの適応がないと判断後、目標HbA1cを決定した上で、経口血糖降下薬が開始されます。
薬剤選択のステップ1を見てもらいますと、日本人の糖尿病は欧米とは異なり、インスリン分泌低下型の非肥満の糖尿病患者さんも多いため、薬物選択に当たって、肥満か非肥満かでアルゴリズムが2通りある、ということが大きな特徴でしょう。例えば、インスリンの分泌促進薬は、肥満を助長しやすいので、肥満患者さんには適さず、むしろ、インスリン分泌が低下した非肥満患者さんに使用すると血糖降下に効果的です。また、肥満患者さんは、当然のことながら、体重を減らす効果がある薬剤を優先的に選択します。提示したアルゴリズムでは、漫然と薬剤が並べられている感じを受けますが、実は、肥満、非肥満、推奨すべき薬剤の順番に並んでいます。すなわち、非肥満患者さんでは、DPP4-阻害薬とビグアナイド、肥満患者さんでは、ビグアナイドとSGLT2阻害薬を推奨する、といった具合です。
ステップ2では、低血糖や腎障害などがある場合の安全性へ配慮、ステップ3では、慢性腎臓病、心不全、心血管疾患などの併存疾患ある症例に推奨すべき薬剤、すなわち、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬を推奨しています。ステップ4として、コストなど患者さんの背景を総合的に判断して薬剤を選択するということになります。
すでに経口薬だけでも9種類もあるわけですから、日常診療において、このようなアルゴリズムは非常に有益だと考えています。