
糖尿病と脂質異常症
糖尿病患者さんは高LDLコレステロール(高LDL-C血症)、低HDLコレステロール(低HDL-C血症)、高中性脂肪血症(高TG血症)などの脂質異常症を合併しやすく、これらは大血管症のリスクファクターであることが知られており、従って、もともと大血管症のリスクの高い糖尿病患者さんの脂質目標値は、より厳格でなければなりません。また、さらにこれに加えて、心筋梗塞などの冠動脈疾患が合併する場合は、さらなる厳格さが要求されます。
この度、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版が5年ぶりに改訂され、糖尿病がある場合のLDL-Cの管理目標値について、末梢動脈疾患、細小血管症(網膜症、腎症、神経障害)合併時、または喫煙ありの場合は100mg/dl未満が加わり、これらを伴わない場合は従来通り120mg/dl未満が目標値となっています。また、二次予防の対象として冠動脈疾患に加えてアテローム血栓性脳梗塞が追加され、LDL-Cの目標値は100mg/dl未満であり、さらに糖尿病に冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞の合併、急性冠症候群、家族性高コレステロール血症などが合併した場合はLDL-Cの目標値は70mg/dl未満となっています。これまで空腹時150mg/dl未満の基準しかなかったTGについては、随時175mg/dl未満が新たに設定されました。
食事療法、運動療法のみで、これらの管理目標値に達しない場合は、速やかに薬物療法を開始しなければなりませんが、実臨床において、糖尿病に合併した脂質異常症を生活習慣のみで改善させることは非常に難しく、多くの患者さんは薬物療法を開始せざるを得ないのが現状です。心筋梗塞や脳梗塞の発症を未然に防ぐためにも、この管理目標値を日々の治療の参考にしてもらいたいと考えています。