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新しい超速効型インスリン

2022年03月17日

 2020年2月にわが国で新しい超速効型インスリンが登場し、現在はフィアスプ®、ルムジェブ®の2製剤を使用できるようになりました。これらのインスリンは、血中への浸透性を高める化学物質を加えることで、皮下投与後速やかに吸収され、従来の超速効型インスリンよりもさらに10-15分程度、血中濃度のピークに達する時間が短く、超・超速効型インスリンなどと呼ぶこともあります。

 超速効型インスリンは食後血糖を抑えるインスリンで食直前に注射します。従来の超速効型インスリンでは効果発現が血糖上昇に追いつけず、食後高血糖の是正が困難な場合も少なからずありますが、今回のインスリンは、ほぼ、生理的なインスリン分泌と同じ速さと考えられます。また、添付文書上では食事開始2分前から食事開始後20分以内に注射可能とあり、状況に適したタイミングで投与することができます。両製剤ともにインスリン作用の立ち上がりが速く、切れがよいインスリンですが、食後血糖が比較的ゆっくり上昇する患者さん、あるいは、晩酌などでアルコールを食事前にゆっくり楽しみたい患者さんに対しては、逆に低血糖の危険性もあり、ライフスタイルや血糖プロファイルを把握した上で、インスリンを選択していくことが重要になります。

 ほぼ24時間効果が持続する基礎インスリン、そして、今回の生理的インスリン分泌とほぼ同じ立ち上がりの新しい超速効型インスリン、2021年はインスリン発見100年の節目の年でありましたが、科学技術の発展による人類の叡智が、100年の歳月を経て、ようやく糖尿病患者さんにとって最適なインスリンを生み出したと言っていいでしょう。

「各インスリン製剤の作用イメージ」 超速効型インスリンは、注射後すぐに効き始め、作用が最も短いです。速効型インスリンは、注射後30分程度で効き始め、超速効型と比べてゆっくりと効きます。中間型インスリンは、注射後ゆっくりと効き始め、ほぼ1日効果があります。混合型インスリンは、追加インスリンの作用時間としては超速効型/速効型インスリンと同じで、基礎インスリンの作用時間としては中間型インスリンとほぼ同じです。持効型溶解インスリンは、ほとんどピークがなく、中間型よりも長く効きます。

内科・糖尿病内科・消化器内科・肝臓内科 医療法人社団渡邉内科クリニック

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