高齢者糖尿病の食事療法で大切なこと
最近の考え方によりますと、健康寿命を延ばすのに一番重要なことは筋肉量をしっかり維持することである、と言われています。多くの高齢者は、70歳も後半になってきますと、筋肉量が減るサルコペニアという病態に陥ります。すると、日常生活の活動量が低下し、自力では外出困難となるフレイルと呼ばれる虚弱体質になり、最終的には寝たきりになってしまいます。
糖尿病患者さんは、多くは肥満体質であること、また、高血糖自体が原因で、このフレイルが早い年齢で発症しやすいと考えられており、食事療法の取り組みをしっかり心掛けなければなりません。若い糖尿病患者さんでは、血糖管理だけを目標にしていけば良かった食事療法も、高齢者になりますと、介護が必要となるフレイルにならないための食事療法が重要であり、ただ単に食事制限する、だけの食事療法では、本末転倒になってしまう場合が多いのです。
フレイルの予防としての、食事療法についてですが、まずは管理栄養士と相談し、栄養状態を把握します。もし低栄養であれば、蛋白質を得るために、体内で合成できない必須アミノ酸を食事から補充することが大切です。つまり、肉や卵を食べて、筋肉量を落とさないことが重要なのです。骨がある魚よりも、脂肪分が少な目の豚肉や鶏肉のほうがはるかに多くの蛋白を摂取できますし、また豚肉に多く含まれるビタミンB1は心機能を高めます。卵は最低1日1個が必要です。血清コレステロールが多少増えることよりも、良質な蛋白質を摂取できるメリットのほうが大きいですし、卵からはビタミンDも摂取できますから、骨粗鬆症にもいいわけです。牛乳はカルシウム摂取の観点から極めて重要なことは言うまでもありませんし、植物性蛋白は大豆食品から十分量摂取しましょう。
高齢者糖尿病の食事指導は、食事を制限するという感覚よりも、重要な栄養素を優先的に摂取してもらう指導のほうがはるかに重要なのです。