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糖尿病性腎症の治療

2018年09月29日

 我が国において、糖尿病性腎症が人工透析導入の原因疾患第1位であり、その腎症が存在する証しである尿蛋白は、血糖管理が不良(HbA1c7%以上)な期間が10年くらいすると、多くの糖尿病患者さんに出現します。

 この尿蛋白が1日1gも超えてくると、もう腎症は後戻りできないと考えられますので、まず何より糖尿病性腎症の早期発見・早期治療が重要になってきます。図に示しますように、血液検査で血清クレアチニンの上昇、糸球体ろ過量(GFR)が低下してくる頃には、腎症がかなり進行している状態と考えられますので、早期腎症の診断には、尿中アルブミン(尿蛋白の一種)を測定することが重要です。

 糖尿病性腎症の治療は、食事療法、運動療法を中心とした血糖管理、血圧や脂質の管理、禁煙・減塩などの集学的治療が重要ですが、特に高血圧の管理は最重要で、収縮期/拡張期血圧を130/80未満にすることが必須です。また、降圧剤の中では、レニン/アンギオテンシン系阻害薬に尿蛋白を減らす作用が知られており、以前から糖尿病患者さんの降圧剤の第一選択となっています。この影響あってか、最近は尿蛋白があまり出ないタイプの糖尿病性腎症が増えてきており、これを糖尿病性腎臓病として、狭義の糖尿病性腎症とは区別しようとする動きもあるようです。

 一方、最近の大規模臨床試験において、糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬に、腎保護効果が証明されています。特にSGLT2阻害薬は、透析導入を遅らせるという、腎症末期においても腎保護効果が証明されています。

 糖尿病性腎症にも新たな治療の選択肢が増えてきたということで、今までにはない治療効果に期待が高まっています。

内科・糖尿病内科・消化器内科・肝臓内科 医療法人社団渡邉内科クリニック

糖尿病専門医・総合内科専門医
院長/医学博士 渡邉昌樹
消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・肝臓専門医・総合内科専門医
副院長 渡邉純代
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