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糖尿病治療は高血糖ばかりに目を向けてはならない

2017年05月08日

 糖尿病患者さんの平均寿命は医療の進歩もあって、近年は伸びてきていますが、それでも糖尿病でない人より約10年短いことが分かっています。

 昨年報告された日本人糖尿病患者さんの死因のトップが悪性新生物(1位: 肺がん、2位:肝臓がん、3位: 膵臓がん)、次が感染症(肺炎など)、次が血管障害(脳梗塞、心筋梗塞など)でした。高血糖が直接的影響で生命を落とす、すなわち、高血糖性昏睡、いわゆる3大合併症(神経症・網膜症・腎症)が原因で亡くなるケースは、優れたインスリンや経口血糖降下薬の登場で大幅に減ったのに対し、代わりに、糖尿病が関与すると考えられる他の病気に罹ってしまい亡くなってしまうケースが多くなってきました。血糖管理は確かに重要ですが、血圧、脂質、肥満、禁煙治療も同時に行い、さらには、がん検診の受診、感染症予防としてワクチンの接種の励行なども非常に重要になってきているのです。

 私が大きな病院に勤務しているときは、糖尿病患者さんの死因となっている疾患に関する、消化器、肝臓、呼吸器、循環器、脳神経科などの専門医が常在しており、何かあれば、すぐに相談できるので、糖尿病専門医は血糖を管理することに比較的専念しやすい環境でした。当院は開院して8年余りが経過しましたが、糖尿病治療目的で来院された患者さんが、現在となっては、消化器内視鏡専門医、消化器病専門医、肝臓専門医である副院長の診察を受けて頂く患者さんが非常に増えてきているという現実があります。従って、我々は、糖尿病患者さんをトータル的にケアできるよう、カバーする疾患をなるべく多く診ようと心掛けなければなりません。ですから、糖尿病患者さんには、糖尿病外来に通院しているから安心、というのではなく、絶えず、糖尿病患者さんが罹りやすい上記の疾患にも十分目を向けるようにしていただきたいと考えています。

内科・糖尿病内科・消化器内科・肝臓内科 医療法人社団渡邉内科クリニック

糖尿病専門医・総合内科専門医
院長/医学博士 渡邉昌樹
消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・肝臓専門医・総合内科専門医
副院長 渡邉純代
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