Q&A 第50回〈1型糖尿病と2型糖尿病の違いについて〉
2013年07月29日
1型糖尿病は、インスリンを分泌する細胞である膵β細胞が、自分の白血球によって破壊され、インスリン分泌が急激に低下し、インスリンが絶対的に欠乏する病気で、インスリン治療が欠かせません。多くは、強化インスリン療法といって、1日4回から5回のインスリン注射を必要とします。1型糖尿病の発症には遺伝子が関与しますが発症機序は不明であり、2型糖尿病のように強い遺伝ではありません。北欧に多い疾患ですが、わが国では、年間10万人に1人の割合で発生する比較的希な疾患であり、糖尿病患者さん全体に占める1型糖尿病患者さんの割合は50人に1人くらいと言われています。
一方、2型糖尿病は、糖尿病になりやすい遺伝的要因(インスリン分泌低下、インスリン抵抗性)に、過食、運動不足、肥満、ストレスなどの環境的要因が加わることで、インスリンの作用不足を引き起こして発症します。極端なインスリン分泌低下の1型糖尿病に比べると、2型糖尿病では、インスリン分泌の低下は、あってもごく軽度です。治療は、まずは食事、運動療法を基本とし、それで不十分であれば、病態に応じて薬物療法が必要なりますが、6種類の経口薬とGLP-1受容体作動薬、インスリンの注射薬を、単独または併用して治療していきます。
1型、2型のどちらの糖尿病でも、合併症予防の観点から、基本的にはHbA1c(NGSP)7.0%未満を目標としなければならないことは共通ですが、治療手段や日常生活で注意しなければならないことは病型によって異なってきますで、主治医の先生と相談しながら治療していきましょう。