Q&A 第24回 〈GLP-1アナログ製剤の有効性〜前編〜〉
2011年05月25日
インスリン以外の血糖値を下げる注射薬と言えば、GLP-1関連製剤(商品名:ビクトーザ、バイエッタ)になります。GLP-1はペプチドなので、経口投与しても、GLP-1の作用を発揮する前に分解されてしまうので、インスリン同様、皮下注射で体内に投与される薬剤です。
GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)は、食事を摂取した直後に消化管から分泌されるホルモンで、血糖値が上昇するときにだけ、膵臓からインスリンを分泌させるので、低血糖が起こりにくく、摂食抑制ホルモンとしても作用するので、体重を減少させる効果も期待できます。
他にも、血糖値を上昇させる働きのあるグルカゴンの分泌を抑制しますし、また、膵臓のインスリンを分泌させる細胞を増殖させる作用も持っているのでは?と注目されている薬剤です。
さらに重要なことは、SU薬やインスリン注射によって厳格な血糖コントロールを目指すと引き起こされる低血糖や体重増加といった心臓への悪影響を回避でき、また、食後高血糖も有効に抑制しますので、心筋梗塞などの大血管イベントを減らす可能性も示唆されています。そういう意味において、この新薬は、非常に画期的な糖尿病治療薬であると期待されているわけです。
この夢のようなGLP-1アナログ製剤はすべての2型糖尿病の患者さんに適応があるのですが、残念なことに、誰にでも有効という訳ではありません。