Q&A 第5回 〈新世代の画期的な糖尿病治療薬インクレチンとは?〉
2009年10月23日
日本人はインスリン分泌能が弱く、糖尿病を発症した時点で、膵ベータ細胞機能は約50%まで低下しているとも言われており、SU剤(スルホニル尿素薬)やインスリン注射を必要とされる患者様が多いのが現状です。
そんな中、新たな経口血糖降下薬、注射薬であるインクレチンという新薬が来年登場する予定です。インクレチンとは、小腸から分泌される消化管ホルモンで、膵臓からのインスリン分泌を促す作用や、血糖上昇作用があるグルカゴンというホルモンの分泌を抑える作用を併せ持つことによって血糖を下げます。
インクレチンには、その他にもいろいろな作用があることが判明しており、例えば、胃の動きを抑制して食欲を抑える作用、膵臓でインスリンを作って分泌する細胞であるβ細胞を増殖させる作用などであり、これらは、いずれも糖尿病患者さんには非常に好都合な作用でもあるわけです。
従来のSU薬やインスリンでありますと、どうしても過剰投与による低血糖が心配なのですが、インクレチンは血糖が高いときだけ作用するので低血糖の心配がありません。
インクレチンは基本的には注射薬ですが、インクレチンの作用を高める経口血糖降下薬と合わせて、この2種類の新薬が来年登場し、糖尿病治療も新たな展開を見せていくと思います。
当クリニックでは、これらの最新の薬も安全にかつ有効に使用してもらうよう準備しておりますので、興味のある方は相談ください。