Q&A 第4回 〈重篤な低血糖を起こしてしまうインスリン・内服治療は要注意〉
2009年09月25日
インスリン治療や内服薬のSU薬(インスリン分泌促進薬)の主な副作用は低血糖です。少なくとも60mg/dl以下の場合を低血糖症といいます。あまりに重篤な低血糖を起こしていると血糖閾値が下がるため、無自覚低血糖を誘発し、突然意識を失うこともあり得ます。
また、低血糖に関して驚く臨床調査結果がありました。糖尿病歴が約10年以上、既往に心臓病があったり、肥満、喫煙、高血圧、高脂血症などの動脈硬化をすすめる危険因子が2つ以上ある高リスクの患者様が、HbA1c6%未満で積極的にコントロールされた場合には、血糖値を低くすることで逆に死亡率が高いことが分かったのです。
要するに必ずしもHbA1cを下げる治療が正しい、とは限らないということです。むしろ、心臓、脳血管病変のリスクが高いひとは、低血糖を起こさないようHbA1cの目標値が7.0%に引き上げられました。また、低血糖を引き起こしやすいインスリン製剤やSU薬がある中で、持続型インスリン1回注射と内服薬の併用療法が有効であることがわかってきました。これは、なるべく少量のインスリンを投与することで、低血糖や体重増加を少なくできる、画期的な治療法です。
当院でも、やみくもに何回も注射するのではなく、まずは1回の持続型インスリン注射に切り替え、低血糖や体重増加を抑え、良好な血糖コントロールをまず目標にする治療から開始することを心掛けています。