Q&A 第3回 〈インスリン治療で体重が増えすぎるのは要注意〉
2009年08月28日
インスリン治療をしても血糖値がよくならない患者様は多く存在すると思います。
本来ならインスリン注射というのは自分のすい臓から分泌されるインスリン(内因性インスリン)がかなり減ってくると必要になることがほとんどです。一般的には、内因性インスリンがある程度残っている人は、必ずしもインスリン注射が必要でないし、必要になったとしても、将来的にはインスリン注射を中止できる場合もあります。インスリンは体の中でたんぱく質や脂肪をつくるので、体重を増やす働きがあります。もともと肥満傾向にある人は、インスリン分泌が保たれているからこそ体重が増えるわけで、なるべくインスリン注射を使用せずに治療を頑張ってもらいたいです。
食事、運動の基本療法を行わずに体質改善を怠っていると、インスリン注射によって体重が増え、インスリンの効きが悪くなり、血糖コントロールが悪化します。
また、過剰のインスリン注射は動脈硬化をすすめ、脳梗塞や心筋梗塞の原因にもなるので注意が必要です。
内因性インスリンがどれくらい残っているかは、血液、尿検査である程度知ることができます。内因性インスリンが少ない人ほど、インスリン注射量、回数が増えていきます。2年前ぐらい前からですが、持続型インスリン1回注射と内服薬の併用療法もさかんに行われるようになってきます。
当院でも複数回のインスリン注射から1回のインスリン注射に切り替え、体重増加を抑え、血糖コントロールが改善した患者様も多くいます。
ただ、糖尿病の病態によっては治療効果が得られにくい場合もありますので、事前に相談して治療を行うようにしています。