Q&A 第2回 〈”軽い糖尿病”を軽視してはいけない理由〉
2009年07月31日
軽い糖尿病、糖尿病の気があるぐらいならと安心するのは間違いです。脳梗塞、心筋梗塞のリスクは、軽い糖尿病の時期にむしろ多いと言われています。
従って、軽い糖尿病、糖尿病の気がある、という表現は、患者様に誤解を与えるとして、私は、初期糖尿病、あるいは糖尿病の早期段階と呼び方を改めています。
血糖値がそれほど高くないのに脳梗塞や心筋梗塞を起こしてしまう原因は、血糖以外にもっと重要な要因があるからです。糖尿病と診断された段階で、多くは肥満であったり、高血圧、高脂血症、喫煙、過度な飲酒、ストレスなどを伴っていることが多いです。
そのような初期糖尿病の段階では、検査値にはっきりと異常は認められなくても、生体は正常の検査値に保とうと必死で頑張ろうとしています。
正しく、この時点で代謝異常が起こっており、この代謝異常が脳梗塞や心筋梗塞発症の引き金となると考えてください。よって、血糖、血圧、脂質などが明らかに異常値と認められる頃には、すでに数年間、代謝異常を起こしていたことになり脳梗塞などのリスクが高いわけです。
糖尿病患者様が来院時に持ってきていただく糖尿病手帳には血糖値、HbA1c以外にも体重や血圧、コレステロールなども記入するようになっています。
糖尿病を管理していくことは重要ですが、血糖値ばかりに目がいき過ぎてしまい、より大切な体重、血圧、脂質などの管理がおろそかにならないように、当院では何をまず優先的に気をつけていけばいいか、患者様に応じて説明することを心掛けています。