
1型糖尿病と2型糖尿病の違い
糖尿病はインスリンの作用が不足して血糖が上昇する病気ですが、作用不足の原因には大きく2つあり、①膵臓からのインスリン分泌が低下する②インスリンの効き目が悪くなる(以下インスリン抵抗性と呼びます)に分かれます。
1型糖尿病は自己免疫(すなわち、自分の細胞や臓器を異物と勘違いしてしまうことにより攻撃してしまう病気)機序により、自らの膵臓を破壊してしまうことで急激かつ極端にインスリン分泌が低下してしまう疾患です。インスリン治療が必須であり、これを怠ると体内にケトン体という酸性物質が蓄積し、昏睡状態に陥り、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と呼ばれる重篤な病態になります。自己免疫による膵臓の破壊後に特殊な抗体が産生され(抗GAD抗体)、この抗体の陽性をもって、1型糖尿病と診断されます。比較的若年で痩せ型の人が発症しやすいなど、以下に示す2型糖尿病とは対照的です。
2型糖尿病は、インスリン抵抗性が主体となり発症します。インスリン抵抗性の原因は、肥満、運動不足、過剰なストレスなどさまざまな環境要因がありますが、実は2型糖尿病は遺伝性が強いことから、最近では遺伝的素因を持つひとがインスリン抵抗性を惹起する環境要因と合わさって発症すると言われています。2型糖尿病ではインスリンの効き目を良くする薬や、必要なインスリン分泌が少なくても済むように節減する作用がある薬が使用されます。病初期は血糖を下げようと努力するためインスリン分泌はむしろ亢進しますが、それを何年も継続していると、やがて膵臓が疲弊し(小胞体ストレスと呼びます)、インスリン分泌が低下していきます。このような状態になると2型糖尿病でもインスリン治療が必要になるケースも出てきます。ですから2型糖尿病の患者さんは、膵臓からインスリンを過剰に分泌させないように心掛ける、すわなち、生活習慣の改善が大切になります。