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最新の糖尿病性腎症の薬物治療

2024年08月25日

 わが国において透析導入の原因疾患の中で最も多いのが糖尿病であり、そのため、糖尿病性腎症は患者様のQOLを著しく低下させるとともに、医療財政逼迫の原因として、長年、国や自治体がその予防の取り組みを行ってまいりました。予後が悪いとされる尿蛋白が陽性となるタイプの糖尿病性腎症は糸球体圧が上昇してしまうことが原因でした。以前は蛋白制限食により糸球体圧を下げることしか治療はありませんでしたが、20年前、レニンアンギオテンシン阻害薬が腎輸出細動脈を拡張させることが発見され、糸球体圧を下げる降圧剤として、広く認知されるようになりました。このことは、糖尿病性腎症による透析導入が現在、減少傾向にある大きな一因でしょう。

 また最近では、SGLT2阻害薬が腎輸入細動脈の拡張を解除することで、糸球体圧を下げる作用が発見され、多くの臨床研究で、SGLT2阻害薬もまた、糖尿病性腎症の進展予防に有効であることが証明されました。

 一方、慢性高血糖が持続しますと、糸球体圧が上昇するだけでなく、炎症や線維化によって糸球体が破壊されてしまうことが腎機能の低下に大きく関与することがわかっていました。ごく最近、GLP-1受容体作動薬やミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬は、これらの炎症や線維化を抑制することで、腎機能の低下を防ぐ作用が証明されました。

 科学の発展とともに、多くの腎保護作用のある薬剤が登場し、これらを集学的に用いることで、糖尿病性腎症が克服できる時代がもうすぐそこに来ていると感じています。

顕性蛋白尿を伴う 糖尿病性腎症の薬物治療

内科・糖尿病内科・消化器内科・肝臓内科 医療法人社団渡邉内科クリニック

糖尿病専門医・総合内科専門医
院長/医学博士 渡邉昌樹
消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・肝臓専門医・総合内科専門医
副院長 渡邉純代
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