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新たなGLP-1受容体作動薬時代の幕開け

2020年01月06日

 これまでにも述べてきましたが、GLP-1受容体作動薬は糖尿病治療に使用される注射薬であります。GLP-1受容体作動薬の作用の中で最も期待される作用としては、持続的に食欲を抑制し、体重を減らすことですが、膵臓に対してインスリン分泌を促進させ、血糖値を下げる作用も持ち併せています。

 約10年前、鳴り物入りで日本に上陸したGLP-1受容体作動薬でしたが、海外用量の半分が使用の上限であったことなどから、食欲の低下まで至らない肥満糖尿病患者さんが多く、体重減少作用も一時的でした。そのため市場の伸びは振るわず、笛吹けど踊らずの状態でありました。

 ところが、5年前にインスリンとGLP-1受容体作動薬の併用が可能となり、状況は変化します。インスリン分泌を促進するだけなら、海外の半分でも十分であり、1日4回注射の強化インスリン療法から、基礎インスリン+GLP-1受容体作動薬へステップダウンする治療法が浸透し始めました。糖尿病専門医がGLP-1受容体作動薬を使用するのは、この基礎インスリンとの併用が一番多いというアンケート結果さえあります。

 しかし、ここに来てようやく、昨年9月にGLP-1受容体作動薬リラグルチド(商品名ビクトーザ)の高用量(1.8mg)が解禁、さらに基礎インスリンとリラグルチドの混合製剤(商品名ゾルトファイ)の登場と相次ぎました。また本年中には、いよいよ経口のGLP-1受容体作動薬も登場することがほぼ決定しています。

 苦節10年、やっと真のGLP-1受容体作動薬時代が幕を開けたといっても過言ではありません。我々は、このGLP-1受容体作動薬を利用した新しい治療法に習熟していくことで、難治性の糖尿病患者さんの治療に貢献できたらと考えています。

内科・糖尿病内科・消化器内科・肝臓内科 医療法人社団渡邉内科クリニック

糖尿病専門医・総合内科専門医
院長/医学博士 渡邉昌樹
消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・肝臓専門医・総合内科専門医
副院長 渡邉純代
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