高齢者糖尿病患者さんの目標BMI値が変わる!
2019年11月30日
2年前、高齢者糖尿病の血糖管理を厳格にし過ぎると認知症の発症のリスクを高まることなどから、高齢者の血糖管理目標が緩くなったことに続き、この度の糖尿病診療ガイドライン2019では、高齢者においては、BMI25まで体重は増えていい、という判断がなされ、これまた既存の糖尿病治療の根幹をひっくり返されるような改定が発表されました。すなわち、高齢者糖尿病において、もっと蛋白質をしっかり摂取して体重が増えてもいいですよ、という指導を受ける患者さんが多くなったということになります。
このように高齢者の目標BMIが引き上げられた経緯については、65歳未満では、従来通りBMI22が最も死亡率が低かったのに対し、65歳以上になると、肥満と死亡率の関連性が脆弱になり、むしろサルコペニア、フレイルなど痩せていることの方が、死亡率が高くなることが、多くの疫学調査で明らかになったのです。糖尿病患者さんの死因の上位は、癌と感染症です。これらの病気の進展や易罹患性、あるいは、治療する場合において、むしろ肥満傾向(BMI22-25)のほうが望ましいのは、実臨床の実感としては当然と言えるでしょう。
ただし、75歳以上の高齢者においては、フレイルやADLの状況、患者さんの栄養状態などを勘案して、個別に目標BMIを設定すべきであり、BMI22~25は、あくまで目安という注釈が付きました。つまり、75歳以上は、現場のスタッフの判断で委ねる、ということのようです。
※BMI(Body Mass Index:体格指数)BMI22:標準体重、BMI25以上:肥満