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大血管障害予防に主眼が移りつつある2型糖尿病治療

2015年05月11日

 糖尿病は血管が痛んでいく病気、すなわち、血管病と言っても過言ではありません。しかし、血管の種類によって、その痛みかたは異なります。

 いわゆる糖尿病三大合併症と呼ばれる細小血管障害、すなわち、腎症・網膜症・神経障害は、いずれも目に見えないくらい細い血管が高血糖の影響でつぶれてしまい、血管としての機能を喪失する病気です。細小血管障害は、高血糖が直接血管にダメージを与えるわけですから、良好な血糖コントロールを維持さえすれば、細小血管障害の予防や進展阻止に大きく貢献できることが既に証明されています。一方、心筋梗塞・脳梗塞・下肢動脈閉塞症などの大血管障害は、非常に太い血管が動脈硬化を引き起こし、その結果、血管が閉塞して重大な臓器への障害が生じる病気です。もちろん、高血糖はこれらの大血管障害のリスクを3倍くらい上昇させますが、しかし、細小血管障害と大きく異なることは、高血糖以外に動脈硬化を促進させる因子はたくさんあるということです。糖尿病患者さんが併発することの多い脂質異常症や高血圧などは、高血糖よりもむしろ大きく動脈硬化に関わると考えられますし、喫煙も同様に大きなリスクです。低血糖を繰り返すと、大血管障害のリスクを増やすことも最近の研究でわかってきました。米国糖尿病学会では、糖尿病患者さんはLDLコレステロール値に関わらず、脂質異常症の治療薬であるスタチンが心筋梗塞発症のリスクを低下させるとして、服用を推奨しています。

 これらのことからも、いかにLDLコレステロールを抑制するべきかが分かります。従って、大血管障害の危険因子を多く持つと考えられる糖尿病患者さんは、血糖値ばかりに目を向けないで、脂質や血圧などの管理も同時にやっていくことが、心筋梗塞などの大血管障害の予防に不可欠である、ということを理解する必要があると思います。

内科・糖尿病内科・消化器内科・肝臓内科 医療法人社団渡邉内科クリニック

糖尿病専門医・総合内科専門医
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副院長 渡邉純代
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