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糖尿病の新薬が出るようですが、どのようなものですか?

2014年05月01日

 新しい糖尿病治療の経口薬として、6種類のSGLT2阻害薬が発売される予定です。このSGLT2阻害薬は腎臓に作用します。ブドウ糖は、腎尿細管と呼ばれるところで再吸収される際、SGLT2と呼ばれる糖輸送担体の孔を通過します。SGLT2阻害薬は、この糖輸送の再吸収をブロックするので、ブドウ糖は、そのまま再吸収されずに体外に排出され、血糖値を低下させます。炭水化物摂取を減らすことと同じ作用がありますので、1日約400kcalの体外排出による体重減少効果が期待できます。また、この糖輸送担体は、ブドウ糖とナトリウムを一緒に通過させる性質を持っていますので、この糖輸送担体の働きを薬でストップさせますと、ナトリウムまでも排泄促進するため、塩分制限と似た作用により、血圧を下げる効果も併せ持っています。

 注意する点としては、尿糖が増えますので、とくに女性では尿路感染症を引き起こしやすくなったり、また、浸透圧利尿効果で尿量が増え、脱水症や熱中症の危険性が高まったりします。今年の夏もおそらく酷暑になるでしょうし、SGLT2阻害薬を内服している糖尿病患者さんにとっては、今まで以上に十分な水分や電解質の補給が必要となります。また、痩せている患者さんに投与すると、余計な脂肪がないために筋肉が減ってしまい、糖尿病を悪化させる可能性がありますので、痩せている患者さんへの投与は避けなければなりません。また、体重が減る、ということで、やせ薬として保険適応でない非糖尿病肥満患者さんが内服を希望するケースもあるかと思いますが、血糖値が高くないと排泄される糖も少なく、体重減少効果はあまり期待できません。あくまで、糖尿病患者さんでの体重減少作用ですので、くれぐれもご注意ください。

 従って、どのような2型糖尿病患者さんに良い適応かと申しますと、高齢でない(65歳以下)肥満男性患者さんに、とくに有効性が高いと思われます。高齢(70歳以上)、痩せ型の患者さん、大血管障害や尿路・性器感染症の既往がある患者さん、腎機能の低下している患者さんには有害事象が起こる可能性があり、慎重に投与していかなければならないと考えています。

                     

内科・糖尿病内科・消化器内科・肝臓内科 医療法人社団渡邉内科クリニック

糖尿病専門医・総合内科専門医
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