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Q&A 第53回〈ステロイドと糖尿病〉

2013年10月25日
 ステロイドは、強力な抗炎症作用を有するため、治療のしにくい炎症性の疾患、すなわち、関節リウマチなどの膠原病や、治療に抵抗性の喘息・皮膚炎などのアレルギー性疾患など、多くの疾患に使われている非常に重要な治療薬です。
 しかし、副作用も多く、ステロイドを内服すると、高血圧、胃潰瘍、うつ病、骨粗鬆症などの発症のリスクを高めますし、また、ステロイドを内服した患者さんの中で、約8%が糖尿病を発症すると言われています。ステロイドはインスリン拮抗ホルモンのひとつで、肝臓、筋肉、脂肪組織でのインスリンの作用を減弱させることが、糖尿病発症の原因と考えられています。ですから、糖尿病患者さんが、もしステロイドを使用すれば、当然、糖尿病の状態はさらに悪化する、ということになります。
 ステロイドによる血糖変動の特徴としては、昼から夕方にかけての、食後高血糖が特徴で、経口血糖降下薬だけでは、血糖を正常化することが非常に難しく、多くの症例において、ステロイド開始とともに、インスリン療法に切り替えなければならないのが現実です。基本的には食後高血糖を是正するために、超速効型のインスリンを毎食前に注射しますが、空腹時血糖まで高い患者さんには、超速効型と中間型インスリンを混ぜたインスリンや持効型インスリンを追加して治療を行います。
 このように、ステロイドは、血糖を管理する、という意味においては、非常に好ましくない薬、ということになりますが、ステロイドの治療というのは、その病気にとっては絶対不可欠である場合も多いですし、もし自分の判断で、服用をやめると、病状が急に悪くなることもありますので、血糖値に十分注意を払いつつ、主治医の指示をしっかり守ってステロイドを内服することが肝要です。 

内科・糖尿病内科・消化器内科・肝臓内科 医療法人社団渡邉内科クリニック

糖尿病専門医・総合内科専門医
院長/医学博士 渡邉昌樹
消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・肝臓専門医・総合内科専門医
副院長 渡邉純代
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