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Q&A 第51回〈1型糖尿病について〉

2013年08月30日
現代日本で、糖尿病が激増しているといわれており、もうその数は、1000万人にも達すると言われていますが、その大部分は、遺伝的背景を持ったひとが、過食、肥満、運動不足などを契機に発症するタイプの糖尿病で、2型糖尿病と呼ばれます。
2型があれば、当然、1型もあるわけですが、1型糖尿病とは、インスリンを分泌する膵臓の細胞が、リンパ球によって破壊されてしまい、インスリン分泌が極端に低下する病気です。著しい高血糖を来たしますので、医療機関受診時には、口渇、多飲、多尿、体重減少、全身倦怠感などの症状が顕著です。一般的には発症してから2−3か月以内に診断されることが多いですが、発症して1週間程度で診断される劇症1型糖尿病や、6ヶ月以上にわたって食事・運動療法や経口薬で治療でき、無症状で経過する緩徐進行1型糖尿病と呼ばれるちょっと違ったタイプもあります。
 
 1型糖尿病は、抗GAD抗体などの膵臓に対する自己抗体が、陽性になることで診断されます。インスリン治療が必須な1型糖尿病では、高血糖、低血糖が容易に起こりやすくなります。糖尿病ケトアシドーシスは、感染症、外傷、インスリン自己注射の中断などが原因で、高血糖に伴う上記の症状が急速に悪化し、重症の場合は、昏睡を来たし、最終的には生命を脅かします。従って、血糖変動に対して、毎日の自己血糖測定が重要になってきます。
 
 しかし、悲観することはありません。1型糖尿病は、小児期を含めて、比較的若い年齢で発症することが多いのですが、適切なインスリン療法で良好な血糖コントロールを保てば、何ら糖尿病がないひとと同じ日常生活を送ることができます。ただ、生活習慣の悪化が関与する2型糖尿病と違い、本人の意思とは無関係に、突然発症する病気ですから、1型糖尿病という病気を受け入れ、インスリン注射を余儀なくされることへの苦労や将来への不安などがあります。従って、1型糖尿病は、血糖管理ばかりでなく、患者さんの言葉に耳を傾けて向き合っていく心のケアも同時に、我々は非常に大切だと考えています。

内科・糖尿病内科・消化器内科・肝臓内科 医療法人社団渡邉内科クリニック

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副院長 渡邉純代
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