Q&A 第47回〈あらためて糖質制限について想うこと〜前編〜〉
極端に糖質を制限する食事療法は、現時点ではやるべきではない、という緊急のコメントを、日本糖尿病学会が、ごく最近発表しました。その理由としては、糖質を極端に減らすことで、逆に高脂質・高蛋白質食となり、心筋梗塞や腎障害が増える可能性が示唆されており、従って、長期的な有用性や安全性に関してのエビデンスがないことがその理由に挙げられていました。そもそも、糖質制限という言葉が、糖質はダメみたいなイメージになり過ぎている感が否めません。糖質制限を支持する先生方の中には、糖質は全く必要でないと目の敵にしている先生もいれば、ある一定量は摂取するべきといったマイルドな糖質制限を勧める先生もいますが、まずは糖質が生体維持のためにどれだけ必要かを説いた上で、でも、やはり過剰な糖質は良くないから減らす必要がある、という方にもっと重点を置いていれば、糖質制限食も糖尿病治療の食事療法の選択肢のひとつとして認められたと思いますし、また、それを実践することが、結果的にきちんとしたカロリーバランスになるのではないかと私は考えています。
では、何故、こんなに糖質が悪者にされるようになったのでしょうか?以前から、脂質が肥満を引き起こすと考えられていました。某大手ファーストフードチェーン店が米国でやり玉に挙がったことを記憶していると思います。しかしその後、米国で年々脂肪摂取が減っているにも関わらず、一向に肥満は解消されるどころか、悪化の一歩をたどったのです。そこでふと、気付き始めたことは、ひょっとしたら、糖質の過剰摂取が肥満の主たる原因ではないか、ということです。確かにハンバーガーショップの食事といえば、パンにポテトフライに清涼飲料水、すべてが炭水化物(糖質)です。5年ほど前に出た欧米の大規模臨床実験でも、糖質を制限する食事療法が、最もダイエット効果があったという論文も後押しした結果、肥満患者さんが多い欧米で糖質制限が支持されるようになっていったのです。
<次号に続く>