Q&A 第29回〈健康診断で尿糖を指摘されました。私は糖尿病なのでしょうか?〉
2011年10月26日
病名からも糖尿病は尿に糖が出る病気として考えているひとも多いでしょうが、そうではありません。尿糖が陽性でも、糖尿病でないこともあります。
その原因のひとつとして、腎性糖尿があります。腎臓は体内に溜まった老廃物を尿として体外に排出する一方で、ブドウ糖を再吸収して血液に戻す重要な臓器ですが、腎性糖尿では、腎臓の尿細管でのブドウ糖を再吸収する能力が低下していますので、血糖がそんなに高くないのに、尿糖が出てしまいます。また、妊娠や薬剤の影響などでも血糖値が正常でありながら、尿に糖が出てしまうことがあります。
糖代謝異常がある場合は、血液中に増えすぎたブドウ糖を再吸収できなくなり、尿に糖が出てしまいます。通常、尿糖が現れる血糖値は170mg/dl前後と言われていますが、糖尿病の場合でも、腎臓での糖の再吸収能力が高いひとは、尿糖検査で異常が出ないこともあります。
以上より、尿糖検査は糖尿病を診断する上で、ひとつの目安にはなりますが、尿糖が陽性でも糖尿病でない場合もあれば、尿糖が陰性でも糖尿病の場合もあるということなので、結論としては、尿糖検査だけでは、糖尿病をはっきり判別することはできません。糖尿病の診断には、血糖値を測定することが必須と考えて下さい。