Q&A 第23回 〈糖尿病の新しい診断基準〜後編〜〉
2011年04月27日
今回の診断基準の改訂は、糖尿病患者さん、あるいはこれから糖尿病かどうかの診断を受ける患者さんにとってどういう意味を持つかなのですが、今まで糖尿病だった人が、糖尿病でなくなるとか、今まで糖尿病の気がある(いわゆる境界型)といわれていた人が、糖尿病になってしまうとか、そういうことではありません。
- 早朝空腹時血糖値126r/d?以上
- 75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値200r/d?以上
- 随時血糖値200r/d?以上
- HbA1c(JDS値)6.1%以上[HbA1c(国際標準値)6.5%以上]
のうち、1から4のいずれかを認めた場合は糖尿病型と判定し、同一の採血で血糖値とHbA1cがどちらも糖尿病型であれば、糖尿病と診断できるようになりましたが、血糖値が診断基準値に達する前から、すでに糖代謝異常が起こっているのは、御理解を頂けることだと思います。
少なくとも、我々糖尿病の専門医にとっては、糖尿病という診断がつくか、つかないかという線引きをすることは全くナンセンスであり、もっと重要なこと、すなわち、10年後、20年後の患者さんの将来を見据えて、目先の血糖ばかりにとらわれずに、今なにをすべきか、ということを最重要視して治療します。
糖尿病あるいは、境界型の患者さんがいま行うべきことは普遍であり、診断基準が変わったくらいで、それが変わることでは決してありません。
しかし、診断基準が必要ないかというと、なかなかそういうわけにはいきません。
医療機関にかかりながら糖尿病を見逃したり、医療の必要ない患者さんにむやみに医療資源が投与されたり、ということが従来から指摘されています。
ですので、それらを防ぐ手段として、一応教科書的な糖尿病の診断基準なるものが存在する、と考えて下さい。