Q&A 第17回 〈糖尿病のひとが内服するべき降圧薬 〜前編〜〉
2010年10月29日
糖尿病患者さんは高血圧を合併することが多いのですが、血糖管理ばかりに目が行きがちで、血圧管理をおろそかにするひとが多く見受けられます。
しかし、この高血圧を放置しておくと動脈硬化は確実に進行します。
従って、塩分制限などの食事療法を実施しても、糖尿病患者さんの降圧目標値である130/80mmHg以下に下がらない時は、即座に降圧薬で治療開始しなければなりません。
その際、すなわち、まだ目立った糖尿病性合併症がないひとに対しては、アンギオテンシン受容体遮断薬(ARB)を第一選択として用いることが、大規模臨床の結果から、望ましいとされています。
その理由としては、ARBは、降圧作用のみならず、臓器保護作用も併せ持っており、心筋梗塞、脳梗塞の発症リスクを減らしたり、糖尿病腎症の進行を抑制させたりすることが分かってきたからです。
もし、ARBで降圧不十分な場合は少量の利尿薬を併用することが推奨されます。
日本人は、塩分摂取量が非常に多いことが血圧上昇の大きな原因のひとつであり、従って利尿薬が有効なのです。
それでも、目標の管理基準値に到達しないこときは、カルシウム拮抗薬(CCB)を追加します。
多くの場合は、この3剤の併用で良好な血圧コントロールを得ることができます。
従って、このような順序で降圧薬を投与することにより、糖尿病患者さんの病態に応じた有効な降圧が可能になるわけです。
ARB自体にもたくさんの種類がありますが、それぞれのひとにあったARBを使い分けていく必要があると考えています。
〈次号に続く〉