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Q&A 【号外】新世代の画期的な糖尿病治療薬

2010年08月20日

小腸から分泌される消化管ホルモンであるインクレチンは、膵臓からのインスリンの分泌を促す作用や、血糖上昇作用があるグルカゴンというホルモンの分泌を抑制し、肝臓における糖新生を抑制させる作用があります。その他にも、インクレチンには、食欲を抑えたり、インスリンを分泌する膵β細胞を増殖させたりする働きがあり、また血糖値が高いときだけインスリン分泌を増強し、血糖値が正常あるいは低いときにはインスリン分泌を増強しないという大きな特徴があります。従って、インクレチンは、糖尿病の治療の有力な手段であるわけです。
 2009年12月に6番目の経口血糖降下薬として登場したDPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ-4)阻害薬は、そのインクレチンの働きを増強させる内服薬で、現在は既に4種類(商品名:ジャヌビア、グラクティブ、エクア、ネシーナ)が承認を取得していますが、今回は、2010年6月に登場した、もう一つのインクレチン関連薬を紹介します。代表的なインクレチンであるGLP-1を遺伝子改変させて作られたGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)のアナログ製剤(商品名:ビクトーザ)は、1日1回、朝または夕に皮下注射することによって、インクレチンとして体内に長い時間留まり、2型糖尿病患者の血糖を改善します。この2種類の薬の違いを一言で言いますと、DPP-4阻害薬は、あくまでも生理的濃度範囲内でGLP-1の活性を上昇させるのに対し、GLP-1アナログ製剤は非生理的濃度にまでGLP-1濃度を上昇させることによって、さらなる効果(食欲抑制、インスリン抵抗性改善、β細胞増殖など)を期待しよう、というものです。
 2型糖尿病患者さんを、インクレチン関連薬であるDPP-4阻害薬とGLP-1アナログ製剤のどちらで治療するかといえば、安価でさらに経口薬であることから、DPP-4阻害薬を選択されるケースが多くなると思います。しかし、DPP-4阻害薬は体重減少効果がほとんど期待できないのに対し、GLP-1アナログ製剤は食欲抑制による体重減少効果がすでに証明されており、血糖降下作用も経口薬よりも強力である(インスリン注射並み)という点も考慮すれば、薬価面や注射であるというデメリットを越えたメリットがGLP-1アナログ製剤にはあると思います。なお、GLP-1アナログ製剤に関しては、経口薬との併用で低血糖などの副作用が出る可能性が示唆されており、適切な治療が強く推奨されているお薬です。もし、この新規の治療薬について気になることがあれば、いつでも御相談下さい。

内科・糖尿病内科・消化器内科・肝臓内科 医療法人社団渡邉内科クリニック

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