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Q&A 第14回 〈インスリン治療を始めることで、重要なことは?〉

2010年07月30日

経口血糖降下薬が徐々に効かなくなってきた状態のことを二次無効と呼びますが、一般的には、たくさんの種類がある中で、特にインスリン分泌促進の作用があるSU薬(アマリール、グリミクロン、オイグルコン、ダオニールという種類が頻用されています)を最大量使用しても血糖が下がらない場合を指します。本例の場合は、詳細な内服内容が分かりませんが、おそらく二次無効と考えていいでしょう。
 通常、二次無効、すなわち、HbA1c 8%以上が1年経過したら、合併症がなくても、インスリン療法を考慮するべきと考えています。また、生物学的なインスリン治療の目安、すなわち、インスリン分泌の疲弊(ひへい)は、採血で、ある程度は評価することができ、食後のインスリン分泌の低下が著明であれば、インスリン治療が不可欠であり、ほとんどの経口血糖降下薬で効果は期待できません。このようなインスリン分泌の疲弊という状況がある場合は、食事療法をどんなに頑張っても、血糖の悪い状況を解決できません。
 しかし、現実はというと、症状がなく、緊急性を要することはほとんどないので、インスリン治療開始を躊躇してしまい、結局、血糖コントロールが悪いまま数年が経過していき、合併症が進行していくケースも少なくありません。また、効果が乏しくなったSU薬を飲み続けるということは、疲弊している膵臓にさらにムチを打ち続けることになるので、疲弊はさらにすすみ、結果的には、インスリン治療を導入しても、注射の量や回数が増えてしまうケースもあります。
 インスリン治療を開始することは、患者本人にとって大問題であり、どの種類のインスリン注射を選択するか、注射回数を何回にするかなどの治療内容よりも、インスリン治療に対する気持ちの負担が取り除けていることの方が大切です。従って、インスリン治療について、ある程度の時間をかけて話い合い、最善のアドバイスをしていくことが我々の重要な役割だと考えています。

内科・糖尿病内科・消化器内科・肝臓内科 医療法人社団渡邉内科クリニック

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