Q&A 第1回 〈糖尿病の治療に違いはありますか?〉
2009年06月26日
大まかに言いますと、糖尿病治療薬は、飲み薬で5種類、インスリン注射で4種類あります。さらに2種類のインスリンを混合したものも2種類あります。年末には6種類目の飲み薬、来年にはインスリンとは違う注射製剤が発売される予定です。
ですから、糖尿病の治療法は多種多様であり、常に進化しているものです。従って、診察する先生によって処方は180度違うことも日常茶飯事です。
糖尿病の治療で、私が一番重視していることは、患者さんの20年・30年後に、糖尿病からくる合併症で悩まないようにしてあげることです。自分の治療が患者様の未来を運命づけるという意識を持って真剣にやっています。糖尿病の薬でかえって体に負担をかけてしまうケースも多々ありますので、薬が必要な人には、私なりの考えを提示して処方するようにしています。
糖尿病は症状があらわれにくく、病状もゆっくりすすむので、血糖値がよくなったり、何年も経過すると、初心を忘れ食事や運動がいい加減になっていきがちです。
でも、これは人間なら当然の心理であり、それを責めるのはナンセンスです。だからこそ、目先の血糖値だけにとらわれず、ずっと先を見据えた糖尿病治療が大切になっていきます。
われわれ糖尿病専門医の役割は、患者様が糖尿病と上手にお付き合いしてもらうお手伝いをすることだと思ってます。
みなさん、糖尿病で一番怖いのは何か知っていますか? 治療を放置する、治療を中断することです。
ですから、糖尿病治療という長い人生の道のりを、信頼できるかかりつけの医療機関と一緒に歩んでいくことが大切だと思います。