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Q&A 第34回〈食事療法①〜食事療法を継続することが難しい理由〜〉

2012年03月28日

糖尿病の病態として、膵臓のβ細胞からのインスリンの分泌が弱い(インスリン分泌不全)、インスリンの効きが悪い(インスリン抵抗性)、については、当コラムでも、何度か登場してきましたが、もうひとつ、脳の視床下部腹内側核にある、いわゆる、食欲中枢と呼ばれる部分が担っている摂食調節というテーマがあります。摂食調節に関与する代表的な物質にレプチンと呼ばれる脂肪細胞から分泌されるホルモンがありますが、レプチンは、食欲を抑制し、脂肪を分解させるなどのエネルギー消費を亢進させ、体重を減らす作用を有することが分かっています。肥満2型糖尿病さんでは、このレプチンの作用が減弱し、レプチンの本来の作用を発揮できないレプチン抵抗性の状態になっており、摂食調節がうまくできないことで、血糖コントロールを悪化させてしまいます。世界の大規模臨床研究でも、糖尿病治療を開始し、半年から1年の間に、食事療法の破綻がやってくるという、食事療法を継続することの難しさを示すデータもあります。
さらに、先進国のわが国は、多くの人々が時間に追われ、ゆっくり生活することができないストレス社会の中で生きています。ストレスは過食を招き、2型糖尿病の発症に関わり、血糖コントロールに悪影響を及ぼします。しかし、食事療法のために、生活習慣を全て変えることは困難ですし、ファーストフードなどの外食産業の発展などからも、入院中のような厳格な食事療法を毎日、実践し、継続することは容易ではありません。ですので、それぞれの患者さんの生活習慣に合わせて、管理栄養士などと連携を取りながら、無理なく継続できる食事療法や、体重が減りやすい薬物治療などを提案していくことが我々の重要と役割と考えています。

 

内科・糖尿病内科・消化器内科・肝臓内科 医療法人社団渡邉内科クリニック

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院長/医学博士 渡邉昌樹
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副院長 渡邉純代
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